第82回/クレカor 電子マネーのポイント、有効利用のススメ

文字数 2,465文字

 稀代にして奇態、現代を生きる伝説の漫画家・カレー沢薫がtreeに帰還!


前作「ひきこもり処世術」で大ひきこもり時代を総括したひきこもり・ジェダイ・マスターが次に取り上げるのは……「お金」!


お金にまつわる四方山話を集め資産2兆円(脳内)を目指すカレー沢薫の旅がつづく。

先日、地元の旧友たちに会ってきたが、連れてこられた5歳女児が、すでにスマホを巧みに操っていた。さすがデジタルネイティブ世代である。


私が5歳のころは、スマホどころかネットすらなく、食器は石で家は竪穴、もちろん火にビビっていた。

しかし、幼少期にアニメやお菓子を禁じられていた者ほど、大人になってから性質の悪いハマり方をすると言われるように、私も17歳で家にインターネットが来て以来ネット漬けの日々であり、進学をあきらめ、スマホは手に癒着し、そろそろ自我をネットに乗っ取られると思う。


それでも昭和生まれの欽ちゃんラーメン育ちなので、アナログな部分も多々残っており「支払い」に関しては、できるだけクレカや電子マネーを使うようにしているが、面倒くさいから現金で払ってしまうこともしばしばだ。


おそらく多くの若人は「現金の方が面倒くさい」と思っていることだろう。

しかし、老がFAXなど古のアーキファクトを使いたがるのは、マジでそっちの方が便利で早いと思っているからだったりする。

実際、メールの使い方を一から覚え、人差し指2本でキーボードを見ながらタイプし、途中で「よろしく尾根ギアします」と打っていることに気づいて、デリートを連打しながら「消えないぞ!」と若を呼びつけ「バックスペースです」と教えてもらうより、使い慣れたFAXの方が100倍速い場合も多い。


つまり我々は、本当に便利な方ではなく、自分が使い慣れている方を「早くて便利」と感じがちなのだ。

私も長らく店頭での買い物は現金で行っていたので、未だに「現金の方が面倒くさくなくていい」と感じてしまう時がある。


「シンプルで把握が簡単」という点では、確かに現金が一番面倒くさくないと言える。

使った瞬間物理的に消えるし、今そこに存在している以上は使えないので、「己の実力を越えて使う」という現象を阻止することができる。

そこで諦めず、限界突破のために愛が降っている場所などに飛び込む向上心が高いタイプもいるが、やはり消費者金融というのは敷居が高い。


だが、クレジットカードだと心理ハードルが下がるため、簡単に己の実力を越えてしまう場合がある。

己の実力以上の力を使ったキャラが戦いの後、全身から血を噴き出して死ぬように、実力以上の金を使った人間も、後日カード明細を見て失血死するのだ。


現金払いのみにしておけば、そういう事故は起こりづらいので、すぐに自分のポテンシャルを見誤りがちな人間にとっては「現金が一番面倒くさくない」と言える。


しかし適切に使用した場合の「得」と言う意味では、確実にクレカや電子マネー支払いの方が得である。

これらを使用した場合、ほぼ必ず何らかの「ポイント」がつき、それをさらに買い物などに利用できるからだ。


現金の場合、店独自が発行しているスタンプカードぐらいしか溜まることがなく、それもゴールまで到達することは稀だ。


よって私もできるだけ支払いはカードか電子マネーにして、楽天ポイントを貯めている。


しかし、私以上に夫はさらにアナログであり、大体が現金払いであり、彼のスマホから「ペイ」という陽気な音が聞こえてきたことはない。

だが、クレジットカードは一応持っており、携帯電話などの支払いはそれで行っているようだ。


クレカを使っているということは、何らかのポイントが貯まっているはずである。

だが夫が使用しているのは、会社で作らされたと思しきカードであり、少なくとも溜まるのは楽天ポイントではない。


そこで夫にあなたのクレカは何のポイントが貯まっているのか、と聞いたところ「VISAだからVISAポイントが貯まっているのではないか」という想像以上にポイントを気にしていない人の答えが返ってきた。


確かに、楽天カードで楽天ポイントが貯まるのだから、その理屈で間違っていない気もするのだが、多分それはスマホを使っているからスマホポイントが貯まっているはず、と言っているようなもので、実際溜まっているのはauポイントとかなのである。


それで夫も気になったらしく、調べて見たところ「わいわいプレゼント」という想像だにしないポイントが貯まっていることがわかった。

まずポイントではなく「プレゼント」なところが斬新で、一瞬貯めたポイントで懸賞に応募できるのかと思ってしまった。


ちなみに、みんなが貯めているポイントトップ3は「楽天ポイント」「Tポイント」「Pontaポイント」だそうだが、世の中には知られていない泡沫ポイントがまだまだありそうである。


このわいわいプレゼントで何ができるかというと、プレゼント数に応じて商品と交換したりもできるが、わいわい側も自分がマイナーだと理解しているのか、他のメジャーポイントに交換することも可能なようだ。


それで夫は4000円相当のpontaポイントを入手し、「これまでもったいないことをしていた」と言っていた。

どうやら、夫は今まで交換を一度もすることなく、ポイントを期限切れで本当に水泡に帰していたらしい。

夫同様ポイントに関心がない人は、年に数千円の金をドブに捨てている可能性があるので一度確認をお勧めする。


それ以降、夫もクレカのポイントに関心を持ったらしく、電気料金をクレカ払いに切り替えるなどしていた。


しかし、夫の場合、電気代より「保険料」の支払いをクレカ払いに出来た方がポイントが貯まると思う。


何せ夫には月に「12個」の保険の引き落としがあるのだ。相当わいわいできるはずである。

カレー沢薫

山口県在住の漫画家・コラムニスト。最新作に『ひとりでしにたい』原作(講談社)など。

X(旧Twitter)はこちら:@rosia29

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