第5回 部屋が汚い俺は金持ちになれないってマジ?

文字数 2,276文字

稀代にして奇態、現代を生きる伝説の漫画家・カレー沢薫がtreeに帰還!


前作「ひきこもり処世術」で大ひきこもり時代を総括したひきこもり・ジェダイ・マスターが次に取り上げるのは……「お金」!


お金にまつわる四方山話を集め資産2兆円(脳内)を目指すカレー沢薫の新たなる旅が始まるーー。

金を貯めたければ、まず金に関する情報を集めるところからスタートしなければならない。


ただ例外として、今「情報商材」の購入ボタンをクリックしそうになっている者は、スタープラチナに指を追ってもらうところからスタートしてほしい。


そこまで極端でなくても、手始めに「年収150万で年間2兆円貯金できる」などのハウツー本を買いがちな人は注意が必要である。


まず「引き算ができていない」という深刻な問題があるが、金儲けというのは金儲けしたい奴に金儲けの方法を売るのが一番簡単なのである。

真っ先に金を出して金儲けの方法を買おうとする人間は、相当カモ、もしくはネギの才能がある。


確かに金を貯めるには「学び」が必要であり、学びを得るために受講料を払うことも時には必要かもしれない。


しかしこの世には金に関する情報がクソほどある上、金業界というのは「世界一詐欺師がいる業界」なのである。

詐欺とまで行かなくても、素人を言いくるめてヨロシクやろうとしている奴は山ほどいるし、時にそれが名だたる銀行や証券会社だったりもするのだ。


そんな玉クソ混交のガンジス業界の中で、引き算から始めなければいけない素人がいきなり当たりを見極めるというのは、難しいのではないだろうか。


また方法には向き不向きというものがある。

金に関しては「毎月稼いだ額以上に使わなければ貯まる」という必勝法が既に発見されているのだが、体質的にそれが向いていない人間は大勢いる。


どれだけ成功率が高い方法でも、それが自分に向いていなければ意味がない。

つまり方法を買う前にまず自己分析が必要である。


金儲けのために金を払うという段階もいつかはくるかもしれないが、それはかなり先のことなのだ。

何事も「まずは極力タダで始める」ことが大事である。

タダで始めれば上手く行かなかったとしてもマイナスになることはない。


前回も言ったが人の心というのは意外とマイナスのストレスに弱い。

高価なダイエット商品を買ったにも関わらず体重が減るどころか増えているのを目の当たりにしてしまったら、ダイエットを投げ出すのはもちろん、スイパラで豪遊、体重を増やした上、クレカ情報もバッチリ流出するという大損害を出してしまうだろう。


それと同じように、せっかく金を貯めるために金儲けの方法を買ったのに、それでマイナスを見てしまうと貯金を断念してしまう上「どうせあの世に金は持っていけねえ」と、突然江戸っ子になってしまい、余計な散財をする可能性が高いのだ。


よってモチベーションを維持するためにも。最初はタダから始めた方が良い。


幸いYouTubeなどには様々な学習チャンネルがあり、金に関するレクチャーも多い。


その中に「貧乏な人の特徴10選」という動画あったため、何の気なしに試聴してみると、私は10個中9個ほど当てはまっていた。


ここまでくると貧乏になるのは運命を超えて使命のような気がしてきたので、神から与えられた役目から逃げるのではなく貧乏という使命(しごと)を全うしようかと思えてきた。



その特徴というのは「臭い」「衣服が汚れているほつれている」「唇カサカサ」「前髪が長い」など見た目に関するものが多く、見た目で判断するなと言いたいところだが、これはかなり的を射ている。


これらのことは、ナチュラルボーンワキガとかでなければ、本人の努力で大体何とかできることである。

それをやらないのは「だらしない」からであり、ついでにそのビジュアルで平気で人前に出てきてしまう時点で、社会性レベルもかなり低い。


資産形成において「だらしない」ほど致命的な性格はない。

だらしないので計画的に金を使うことができないし、だらしないゆえに物をすぐ無くすし壊すので、無駄な出費も多いのだ。


当然だが「部屋が汚い」というのも条件に入っている。


以前、金を貯めたいなら税金対策は不可欠などと書いたが、そういう自分は「レシートを保管できない」ため、相当無駄な税金を払っていると思われる。


まただらしないということは「面倒くさがり」ということでもある。

全国民が10万円もらえるコロナ給付金ですら「面倒」という理由で申請しなかった人間が存在するらしい。

「面倒くさがり」という性格は「得するチャンス」をことごとく逃すのである。


逆に唯一当てはまらなかった1個は何かというと「人間関係が断捨離できていない」である。


交際費というのは意外と馬鹿にならない、人付き合いは大事だが、無駄な交友関係は交際費と時間の無駄遣いになるので、ある程度人間関係には取捨選択が必要なのである。


そういう意味でいうと、私の人間関係は、突然ミニマリズムに目覚めた大学2年生の部屋のように片付いている。

どちらかというとこっちが断捨離された側なのだが、確かに交際費は極端に少ないし、時間もほぼ全て自分のために使っている。


私に与えられた、唯一の金儲けの才能が「人間関係がない」ことなのである。

これからも部屋から出ず、誰とも話さず、この才能を大事にしていきたい。

カレー沢薫

山口県在住の漫画家・コラムニスト。最新作に『ひとりでしにたい』原作(講談社)など。

Twitterはこちら:@rosai29

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