最近のラブコメ?

文字数 1,106文字

 神社を舞台に、信心のない青年と美少女巫女がいちゃいちゃ(?)するラブコメを書きたい! その衝動から生まれた「境内」シリーズの2作目が『境内ではお静かに 七夕祭りの事件帖』である。ありがたいことに3作目『神盗みの事件帖』も来月(5月)四六判単行本で刊行予定だ。

 たくさんの応援にただただ感謝なのだが、2作目の単行本版を上梓した際、「青年と巫女さんの関係が進まなくてじれったい!」という声をいくつかいただいた。作者としては予想外で、「まだ2作目だし、劇中では半年も時間が経ってないんだよ? そんなすぐにはつき合わないでしょ?」という思いがある。

 一方で、自分が最近好きなラブコメは、主人公たちが割と早い段階からつき合っていたり、つき合ってからも話が続いたりしているものが多いことに気づいた。

 もちろん、作者が子どものころにもそういうラブコメはあった。しかし当時は、つき合うことがゴールというか、最終目標というか、ゲームでたとえるなら「ラスボス」だったように思う。対して現在は、せいぜい「中ボス」になったのではないだろうか。
 あくまで個人の印象である。10代・20代の中に、自分がその年代だったころに較べて異性とつき合うことのハードルが低い人が散見されるので(うらやましい!)、そう感じるのかもしれない。

「しまった。青年と巫女さんをさっさとつき合わせた方がイマドキだったか!」と後悔したこともあったが、いまは違う。「境内」の二人にはじっくり時間をかけて関係を育む方が似合っていると思うし、そういう二人を書くのが好きだと気づいたからだ。
 それに作者としては4作目まで構想を練っており、2作目でも二人の関係を着実に進めたつもりである。青年と巫女さんがこの先どうなっていくか、いろいろ想像しながら読んでもらえると大変うれしい。



天祢涼(あまね・りょう)
1978年生まれ。『キョウカンカク』で第43回メフィスト賞を受賞してデビュー。『葬式組曲』が「本格ミステリ・ベスト10」2013年版で第7位、第13回本格ミステリ大賞の候補に。『あの子の殺人計画』が「ミステリが読みたい! ベスト10」2021年版で第7位など、年末のミステリーランキングに続々ランクイン、高い評価を受ける。他の著書に本書の前日譚『境内ではお静かに 縁結び神社の事件帖』、『謎解き広報課』『彼女が花を咲かすとき』『議員探偵・漆原翔太郎 セシューズ・ハイ』『探偵ファミリーズ』『希望が死んだ夜に』『Ghostぼくの初恋が消えるまで』など多数。

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