食玩戦闘機の使いかた

文字数 1,088文字

 私の部屋には、F‐15などの、ごく小さな戦闘機の模型が飾ってあります。
 これ実は、缶コーヒーのおまけ。『侵略者(アグレッサー)』を執筆していた当時、冒頭の空中戦闘機動シーンを練るために、わりと真剣にお店に通ってコンプリートした食玩シリーズなんです。
 アグレッサーという存在を教えてくれたのは、新谷かおる氏の『ファントム無頼』です。
 戦闘機の訓練において敵側に扮し、空中戦闘機動を教導する超優秀なパイロット。漫画に出てきたのは米軍の部隊で、米軍ではさまざまな事情で接収された、仮想敵国で実際に使用されている機種を使い、その特徴も学ぶことができるとされていました。
 航空自衛隊にも存在すると知ったのは、ずいぶん後のこと、私が大人になってからです。小松基地で取材もさせていただき、飛行教導群を紹介する市販のDVDを繰り返し見るうち、パイロットが訓練内容を振り返って検証するのに、戦闘機の模型を使って機体の動きや位置関係を再現していることに気がついたのでした。
 なるほど、そういう手があるのか!
 私も真似をして食玩の戦闘機を両手に持ち、「ビューンとこうきて」「ここで位置エネルギーをスピードに変える」「グーンと旋回して、こっちがこうなるとオーバーシュート!」などと夢中で考えていたのですが、たぶん傍から見ていると遊んでいるようにしか見えなかったでしょう。
 でもその努力の賜物か、書き上げた小説を某パイロット氏に読んでもらったところ、
「福田さん、よく勉強されましたね!」
 と激賞していただきました(社交辞令でも嬉しい!)。食玩戦闘機くんに感謝です。
 なんだか「幼い」言い方でお恥ずかしいのですが、『侵略者』には自分の好きなものばかり、ぎゅっと詰め込みました。好みの近い方のお手元に届いて面白がってもらえたら、それはもう書き手冥利につきるというものです。



福田和代(ふくだ・かずよ)
1967年兵庫県生まれ。神戸大卒。システム・エンジニアを経て、2007年『ウィズ・ゼロ』でデビュー。'08年首都大停電がテーマの『TOKYO BLACKOUT』が話題に。クライシス・ノベルを中心に発表する中、女性自衛隊員の日常の謎を描く爽やかな「航空自衛隊航空中央音楽隊ノート」シリーズも大きな反響を得る。その他の著書に『繭の季節が始まる』、『スパイコードW』がある。

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