私の愛しの‘’バディ刑事‘’

文字数 1,022文字

 思えば、最初の洗礼は『あぶない刑事』だった。私の刑事バディものの原点である。以降、『相棒』から『MIU404』まで、バディものドラマは心のサンクチュアリだ。
 一方の警察小説。これはもう、若い頃から浴びるように読んだ。警察組織という未知の領域、悲喜こもごもの事件や人間ドラマに身を浸しては、フィクションの世界に没頭した。そう。あくまで、警察小説は手に取って拝むだけの遠い存在だった。
 それが今回、大変光栄なことに「警察小説を書かないか」とお声をかけていただいた。しかも「バディもの」。これは嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。一介のファンに過ぎない私が、憧れの場所に席を設けていただけたのだ。
 が、ここではたと気付く。
 私に書ける警察小説とは? バディものとは?
 言わずもがな、すでに傑作と言われる警察小説、バディものは数多ある。ここで世の傑作に倣ったものを私が書いても、すぐに中身のなさが露呈する。これはイカン。厚い衣からするりと抜け出た、身の細い悲しいエビフライみたいになってしまう。
 そこで私は考えた。私が書いてみたい刑事とはどういう人物だろう。この人に何をしてほしいだろう?
 そうして現れたのが、少年のような容貌を持つ刑事、童二怜央である。彼は過去の因縁から身も心も成長しきれず、その分、子供に近い。現実世界でも、子供を含めた弱い立場にいる人が苦しめられる場面は多い。私はそういう悲しい現実に立ち向かうために童二を生み出した。彼に、私に代わって誰かを救ってほしいと思ったのだ。だから童二は小さい身体で奮闘するし、苦しむ。
 そんな彼とバディを組むのが岩魚鉄太だ。警視庁捜査一課から放逐された彼は、本庁に返り咲きたいという思いの強い巨漢刑事。上昇志向が皆無の童二とは何もかも真逆だ。そのため、二人はちぐはぐだ。
 けれどバディものの真骨頂(萌え)はこの嚙み合わなさ、もどかしさだと思っている。とことん凸凹な童二と鉄太。このコンビが、どうか読んでくださる方の心に残りますように。



金子ユミ(かねこ・ゆみ)
『あなたを瞳でつかまえる!~天然女子はカメラアイ!?』(コスミック出版)でデビュー。他の著書に『異世界宿屋でおもてなし~転生若女将の幸せレシピ!~』(コスミック文庫α』、「千手學園少年探偵團」シリーズ(光文社キャラクター文庫)がある。

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