斬り込み隊集う!

文字数 1,159文字

 男女雇用機会均等法の裏付けによってセクシュアルハラスメントのほか、妊娠、出産、育児休業などに関するハラスメントの是正指導を行うのが厚生労働省東京労働局の雇用環境・均等部=略称・コキン部です。ここに新たに、法の垣根を超え広範囲の事案にフレキシブルに対処する職場の斬り込み隊コキン部()(どり)()(ふち)(ぶん)(しつ)が組織されました。
 室長に任命されたのは、(うるし)(ばら)小百合(さゆり)(推定50歳)。新卒時、麻薬取締官(マトリ)志望だった彼女は、男子優先と言われて最終面接で落とされた過去を持ちます。疑問を抱いたサユリは、入省後に男女雇用機会均等法改正に向けての資料づくりに携わったのでした。
 腕利き指導官としてキャリアを積んだ彼女は、分室に配属するふたりの部下を自由に選ぶ権限を与えられます。法の垣根を超える事案を扱う以上、ほかの部署から人材を求めようとサユリは考えました。 
 まず、中央労働基準監督署のエース監督官・(じょう)()(ざき)()(ぞう)(推定29歳)をスカウトします。クールな風貌のジョーは、一方で鉄道ヲタク(本人は否定)であり、身に着ける物に独特のこだわりを持つクセの強い人物だったりします。
 もうひとりは、ハローワーク吾妻(あずま)の職員だった()(みや)()()(24歳)です。リコについては、旧知のハローワーク所長から「ぜひとも仕込んでもらいたい」とサユリが頼まれ、身柄を預かることにしたのでした。
 前作『天職にします!』の主人公・リコを再び登場させることは、僕の念頭にありました。過去の取材で、労働基準監督官がコキン部に人事交流で異動になるケースは耳にしていました。でも、ハローワークからコキン部への異動は無理があるかな……とも思っていたのです。そんな時、ハローワークの職員さん向けのメールマガジンから『天職にします!』の紹介記事のインタビューを受けました。その席にいた職員の方が、まさにコキン部に異動した経験があることを聞き確信を得るに至りました。
 こうして職場の斬り込み隊の3人は、コキン部分室に集ったのです。



上野歩(うえの・あゆむ)
1962年、東京生まれ。専修大学文学部卒。'94年、『恋人といっしょになるでしょう』で第7回小説すばる新人賞を受賞。近著に『鋳物屋なんでもつくれます』『キリの理容室』『天職にします!』『料理道具屋にようこそ』などがある。

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