ワンダフルな映画たち

文字数 1,105文字

『ワンダフル・ライフ』というタイトルは、私のフェイバリット・ムービーの一つであるフランク・キャプラ監督『素晴らしき哉、人生!』(原題:It's a Wonderful Life)から拝借した。タイトルだけでなく、映画自体についても本作の中で記述している。ただし小説全体は、映画のようなハートウォーミングな内容ではないのでご注意あれ。かといって反語的に使用したつもりもない。どう解釈するかは読者の皆さんに委ねる次第。
 その件とは少し離れ、映画の話。
『素晴らしき哉、人生!』を小説の中に出すことは最初から決めていたのだが、執筆の途中でこの映画だけ出てくるのが唐突であるように思えて、他の映画も出そうと考えた。どういう形で触れようかと悩んだ末、作中の男女が知り合う、または仲良くなるキッカケにしよう、と思いついた。私自身にはそういう経験はないが、「好きな映画が同じ」というのは恋に落ちる大きな要素になるのではと以前から思っていたのだ。かなり重い内容の場面が続く章もあったため、好きな映画のことを書いて僅かでも気晴らししたいという意図もあった。
 作中の男女が映画を観る場面や内容について語り合う場面の作品として、『ミツバチのささやき』と『ハリーとトント』を選んだ。他に好きな作品としてタイトルだけ挙げたのが、『ペーパー・ムーン』『アニー・ホール』『ラストコンサート』『アリスの恋』『さらば冬のかもめ』といった映画たち。どれも私自身が中高生の頃に観て、感動した作品ばかりだ。
 他に、巻末に参考資料として『(ハル)』『さようならCP』という映画を挙げている。どんな風に参考にしたか、興味があれば観てほしい。
 ちなみに、中黒なしの『ワンダフルライフ』というタイトルの映画には一九九九年に公開された是枝裕和監督の作品があるのだが、中黒ありでもなしでもこのワードで検索すると、本作や是枝作品よりもワンコが主役の映画が先に出てくる。好きな監督の作品ではあるのだが未見で、ちょっとくやしいので今後も観ることはないだろう。ワンコは可愛いのだけど。



丸山正樹(まるやま・まさき)
1961年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。2011年、松本清張賞に応募した『デフ・ヴォイス』で作家デビュー。同作はテレビドラマ化され話題に。著書に『漂う子』『刑事何森 孤高の相貌』などがある。近著は『夫よ、死んでくれないか』。


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