人間に人権があるように、犬にも犬権!

文字数 856文字

 人間を傷つけ、命を奪えば、刑事罰が科される。
 一年、三年、五年……罪が重ければ無期懲役や死刑に至る。
 それに引き換え、犬猫はどうだろうか?
 犬猫は人間のミスで死なせてしまっても、基本は器物損壊扱いになってしまう。
 知人のミニチュアダックスが、預けたペットホテルのスタッフのミスで死んでしまった。
 飼い主は弁護士や警察に相談したが、罰金で解決することを勧められたという。
 少なくとも、人間を死なせてしまったときのように刑事裁判で争う、ということは無意味だと言われたと、怒りと哀しみに声を震わせていた。
 ミスではなく、故意ならどうだろうか?
 動物愛護管理法が強化された現在でも、犬猫等の愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりした者は、五年以下の懲役または五百万円以下の罰金にしかならない。
 実際には犬猫を面白半分に殺しても、五年の実刑や五百万円の罰金にはまずならない。
 人間に同じことをやったら、情状酌量の余地がないかぎり十五年以上は確実だ。
 以前、マイアミで実験的にアニマルポリスが設立されたとテレビで観たときに、日本にも設立されてほしいと切に願った。
 犬猫を殺害した犯人はもちろん、虐待や飼育放棄した犯人を取り締まる組織が、是非、日本にもほしかった。
 そんな願いを込めて、本書を書いた。
 そう遠くない将来に、アニマルポリスの警察官が街をパトロールする姿を普通に見ることができる世の中になるように。



新堂冬樹(しんどう・ふゆき)
1998年『血塗られた神話』で第7回メフィスト賞を受賞しデビュー。『無間地獄』『忘れ雪』『黒い太陽』『不倫純愛』など映像化・コミック化作品も多数。近著に『任侠ショコラティエ』『虹の橋からきた犬』『犬義なき闘い』『犯人は、あなたです』『絶対聖域』などがある。

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